鋼鉄のハム固日記

日記になってないし

遊び場の話

客がいて遊び場がある

エンデューロにはいろんな趣向をもった仲間が集まる。

チームで参加するひと、ソロなひと、キングなひと。

レース初心者から百戦錬磨まで、トレーニングしてないひとから中毒者まで。

 

どちらが良い・凄いということではない。

この世界にはありとあらゆる人がいて、多様なひとがイベントに集まるからイベントが成り立つ。

人が集まらなければ遊び場は減る。

 

 

「周回遅れ」

という言い方は先頭を基準にしたものだ。

競争だからそういう言い方になるのだが、レースは万人のためにある。

エンデューロには脚キリがなく、時間内にめいっぱい遊べるのが魅力だ。

 

で、問題なのは周回遅れな方に対する眼差しと言葉。

 

「どけ~ジャマだ~ハジに寄れ~(#゚Д゚)」

「周回遅れはもっと左寄れゴルァアアア( ;゚皿゚)」

 

 

だからお前はヘッポコなのだといいたい。

 

周回遅れな方々は、申し訳なさそうに、遠慮して走っているようにわたしにはみえる。

その上、こんな罵声を受けて、またこのレースに出ようと思うだろうか?

 

参加者が減れば遊び場も減る。

ひいては業界全体の不利益につながる。

 

 

他人事じゃない 

はじめてエンデューロにでたとき、私も周りに習い罵声を上げてしまった。

その直後、なんかこれは違うと思い同調するのをやめた。

その後、サポートライダーである実業団レーサーは殺伐とした集団を叱ってくれた。

 

 

弱者への想像と配慮を欠いた人間は、真のレーサーになれないんじゃないか。 

あらゆる側面で強くなり優しくなり、趣味を満喫したいと思うわけです。

みんなで楽しい遊び場を作っていきましょう。

 
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トレーニング時間捻出の話

ポジティブリストとネガティブリスト

小学校に英語教育を導入すべきかどうかという議論がなされたとき、事前の意識調査ではたいていの親は賛成だった。チャンスのウィングを広げるために、我が子の将来のために、というのはよくわかる。しかし時間は限られているから「英語をやると国語の時間が減るかもしれませんよ。それでもやりますか?」という聞き方をすれば、調査の結果は変わるだろう。我々大人の仕事と同じように、いいと思うものをなんでも付け加えていけば仕事も生活も破たんする。このようにやりたいものを積極的にリストに付け加える考え方を「ポジティブリスト」という。それにたいして「最低限やっておいたほうがいいものはキチンとやって、あとは放っておけ」という考え方もある。これを「ネガティブリスト」という。

(この文章は俺氏のテキトー要約である。くわしくは苅谷剛彦増田ユリヤ『欲ばり過ぎるニッポンの教育』(講談社現代新書1866,2006年)pp.44-48.)

 

 

 

 

8時間で考える

 人間の生活を「睡眠」「仕事」「それ以外」に分類し三等分すると、カテゴリあたり8時間を確保することができる。睡眠の科学や労働者の権利獲得の歴史から考えて、8という数字はまぁ妥当なところだろう。

 睡眠を削ったり仕事をやり過ぎたりすると何かを犠牲にしなければならないから、長期的には生活が破たんする。その結果、本来出来たはずの仕事をさばけなくなる。

 学生のときは毎日15時間以上机に向かったし、就職後は深夜帰宅が日常だった。いずれも長期的にみれば身体を壊したし、たいした成果を上げられなかった。

 

 仕事は最大8時間、睡眠時間7.5時間(残りの0.5Hは睡眠導入)をしっかり確保するようになってから「限られた時間で何をするか」を考え直すようになった。集中する時間とそうでない時間(雑用)のメリハリがつき、仕事の質・量は全体として向上した気がする。「限られた時間で何をするか」という問題は、優先順位のつけ方の問題、あるいは「とびっきり大事なものだけを選択する行為」だと理解している。

 

 そういう作業の積み重ねの中から練習時間を捻出するのがトレーニーとしてのスタートラインなのである。

 

普通に生きるとトレーニングできない

 さて「その他8時間」の内訳だが。

 食事(準備・摂取・片付け含む)に1h×3で3h、通勤に1h×2で2h(通勤は自転車だがトレーニング効率が悪すぎるのでここはダイエット走に切り替えた)。残る3hで家事1h、風呂0.5h、子どもと過ごす時間1.5hを見積もっている。

 合計で8時間だから普通に生きるとトレーニングできないのである(!)。

 

 では何をどう削るか。

 1.食事の時間

 ・忙しい日やトレーニングが危ぶまれる日は、必ずと言っていいほど社食で済ませる(準備と片付けをカットするための0.5hを買う)。 

 ・土日や空き時間で作り置きをしておく(出来ないことも多い)。

 2.通勤時間

 ・自宅勤務でいい日は通勤2時間をカットする。

 ・雨が降れば電車とバス。移動中にガッツリメール仕事して仕事時間に換算する。 

 3.休日の時間

 ・土日も早朝に起きて少なくとも2日で7時間くらいは稼いでおく。完全オフの日はほとんどつくらない。

 

 それでもダメなときは何かを削る。睡眠時間は7時間切ることも多いからよくない。

 こうしてちょっとずつ貯金した1.5~2h(準備含めて)をトレーニングに充てる。

 とくに、子どもがはやく寝る日には規則性があるので1.5時間のトレーニングは絶対にはずせない。

 練習しない日もあんまりダラダラしなくなった。回復しながら生活を充実させることにより翌日が充実する。それによってトレーニング時間を確実に確保する。

 

 もちろん計画どうりにはいかないけど、8割くらいは実行出来ている。残りの2割はもともと計画に無理があった、そんなもんだと考えて回復日にする(その場合翌日の負荷を上げる)かトレーニング時間を短くして最大化を狙う。

 

 こういう生活して減量までやるもんだから、近い人には「何のために?」とか「何を目指しているの?」と聞かれる。

 いや、そういうことじゃないんだな。

 楽しいからやる。

    それ以上の理由はないし、そもそも理由など考えたこともない。

 漫画が好きな少年に「なんで漫画を読むの?」って聞くのは愚問じゃないか。

 

トンボ釣りが好きな少年の話

 トンボ釣りが三度の飯よりも好きな少年がいて、暇さえあればトンボを捕まえに出かける。だがしかし、少年にトンボ釣りをやめさせるのは簡単だ。それはただ一つ、「トンボを釣って来い」と毎日毎日、命令することだ。

 人間は本来楽しみにしていたことであっても、それを義務としてやらなければならなくなると、とたんに苦痛以外の何ものでもなくなってしまう。

 (この文章は俺氏のテキトー要約である。くわしくは内田義彦『生きること 学ぶこと』(藤原書店,2004年))

 

 仕事も自転車もそうだろう。

 

 「何を大事にして生きるか」ということは、自分がやりたいことは何なのか、もっと大袈裟に言えば「“自分は何者なのか”という問いへの反映」だと思う。

 一緒に頑張ってきた仲間たちに新しい家族ができる(た)。我が家にも新しい家族が増える。こんなに嬉しいことはない。

 その一方でこれからいろんなことが変わる。ちょっと頑張ればできること、頑張ってもどうしようもないこと、やりたくてもできないこと、甘えさせてもらってやれること、そういう葛藤の中で日々試行錯誤を重ねていく。

   家族の幸福の最大化と競技生活の最大化を両立する方程式を見出したいと思ってる。

 

 自転車は楽しい。

2017年

ひたちなか2H 7位

そろそろ自転車に乗れと仲間から声をかけてもらい大急ぎで仕上げる。パワーアップを感じていたものの、肉ダルマで酸素供給が足りない感じ。開始1時間で脚ツリ大王。リザルトがしょっぱい。


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 山神氏と(Photo by くすだくん)

 

 

ニセコクラシック140km 年代別17位 総合71位 (クロモリの部たぶん2位)

初のロードレース。練習の質・量を確保するために極端な減量を避けた。ロングと登坂をこなして本番に臨む。69kgくらいで出走。トップレーサーとの差は歴然だった。ゴールラインを通過したあと、課題を前向きに捉えて、向き合いたい自分がいた。

 
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結局レースは2本。今年は激動の一年だった。そして全体として充実した一年だった。

来年も同様の状況が続く。ニセコは仕事で行けない。沖縄もあやしい。

でも充実しているから悲愴感はない。僅かなチャンスにかけて、趣味も仕事も愉快に着実に成果を出したいと思ってる。

ロードレースにはすべてがあった。自分のすべてが試される。人生や仕事にも通ずる何か本質的なものがある。

「ニセコクラシック2017レースレポート」を問い直す(仮)

主観と客観の解離

 前回のレポートでは、レースの記憶が鮮明なうちに、何を考えながら走ったのかを書いた。これは大事なことだと考えている。その一方で、レースで計測したパワーデータを開示しておらず、客観的なレポートとは言いがたい。

 試しにログを分析してみると、7倍(倍=w/kg)での登坂を維持しているわけではない(それができればコンタドールにも勝てるらしい)。瞬間パワーが脳裏に焼き付いて、キツかった根拠にしたくて、数字が一人歩きしたということだろう。

 要するに「主観と客観の解離」が明らかになってきた。そこで、ログを具体的に分析しつつ、ギャップを埋める作業を進めたいと思う。そういうことが今後の成長に必要だと師匠から教わった。ありがたい。

 

何をどう分析するのか

   まずはじめにご覧いただきたいのは、下のデータである。

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 これはStravaのFlyby機能を使ったもので「どこで、何分差がついたのか」が一目瞭然である。

 ここで選択させていただいたライダーは、トップライダーの典型として年代別3位の岩島さん(青)、格上&クライマーであるCUBEの居鶴さん(オレンジ)、CX1上位ライダーで長い時間ご一緒したRCCの窪田さん(ターコイズ)である。いうまでもなく黒が私だ。

 まず指摘しなければならないのは、登坂の度に差をつけられている点である。特に20㎞地点からの登坂、65㎞地点からの登坂はその典型だろう。前半の登りを終えた時には、先頭集団から8分差をくらっている。

    単独と集団では事情が異なるとはいえ、下りや平地では致命的な差がついていないことから、「どれだけ集団にぶら下がって登れるか」が重要なことを教えてくれる。

    したがって、まずは前半の登坂に対象を限定して、ログやパワーデータを詳細に分析することが重要と考えられる。チギレた箇所やその前後の分析を通して、踏ん張りどころの具体的把握や課題の抽出ができるはずだ。その上で、登坂で勝負が決まっていることから、6つの登坂を分析してタレ具合をみれば、現時点での耐性をそれなりに明らかにすることができるだろう。きっと。(続く)

ニセコクラシック2017

ニセコクラシックレースレポート

結論:集団にぶら下がり続けられないと何も始まらない。ロードレース1年生、その入学式は実に苦々しいものだった。

(1)序盤
トップレーサーたちがポジションを上げるなか、おれはポジションを下げていた。まったく言い訳できない。そういうところでしか走れない、前で走る意志が足りないのだ。後ろがつらくなるのは当たり前、ギャップが発生して余計なパワーを使うことになる。当然ながらナカギレも発生するのでまた脚を使う。クリテやエンデューロで意識してきたことをロードレースでも適用しないでどうする。逆にいえばそれが当たり前にできない自分を見つめ直さないといけない。んでトップレーサーの近くにいたときは5倍で登坂していたものの、下がれば下がるほどパワーを使い7倍に到達。オーバーペースを心配して弱気になる。序盤のセレクションで私は50人ほどの集団から脱落した。その後は脱落した人たちと回したけど基本的に修行。ロードレースに行ったのに、ロードレースをしないで私のニセコクラシックは終わった。

 

(2)中盤
こんなことをボケっと考えながら、無事に家に帰ろう、しかし少しでも順位を上げるべく再スタートを切ろうと覚悟を決める。長い登りは4倍強で登坂。後ろからきたクライマーを使いながらハイペースを刻む(こんなことができたのが自分でも驚き)。気がつけば励まし合える小集団ができていた。この区間のタイムはトップレーサーたちとそんなにかわらない。それだけに序盤の走りに悔いが残るが、脂肪の塊マンとしてはよく頑張ったということにしよう。稽古をつけてくれたZappeiのBASS兄さんやタカヒロクン、u.D.n Racingのみなさん、そしてチームメイトのアキちゃんとRyoさんには感謝してます。特にアキちゃんは何度も練習付き合ってくれて、何度も地獄の底に落としてくれた。心の底からありがとう。


そして下り。仲間たちにはずいぶん心配をかけた。おいらの下りはヘッポコだからな。事前の試走で、道幅が広いこと&カーブに余裕があるのがわかったのでほぼノーブレーキだと思っていた。ばんざいさんから「下りはそれほど心配要らない」と励まされたのはとても大きい(ちなみに「それよりも集団にどれだけぶら下がれるかが重要」とアドバイスももらってたんですがねーーーーーーーーーー(棒))。それから悪友であり親友であるJOにゃんにはヘッポコのためにスキル練の稽古をつけてもらった。自動車やバイクのレースを生業にしてきた彼は、ヘッポコのヘッポコたる所以を理解しているので、アドバイスが実に頭に入る。そのような実地や直前のアドバイスは相当効いた。①力まないで常にリラックス、②常に先だけみること、③直滑降おじさんは気にするな、という出発前のシンプルなアドバイスは大きな勇気を与えてくれた。自分でも驚くほど冷静にこなし、誰が危ないのか(そして誰が草むらにダイブするのか)、どこが安全なのか、良いライン、悪いラインがみえた。アドバイスを言い聞かせていたら下るたびに自信が湧いた。何もしなくてもスピードがでる体重レーシングなのですが、気がつけばクランクを回し続けていた。下りで10~20人以上は抜いたと思う。
そして平地区間。いよいよハム固マンのボーナスステージです。ウチの娘が歌う謎のオリジナルソング(数字の1はなぁ~に?タヌキのお~な~か、トントコトン♪)が脳内をリピートする。よし、これでいくらでもいける。徐々にペースを上げつつ信頼できそうなレーサーたちに声をかける。六本木くんとRCCのヒロさんは走りが違ったのでレッツコミュニケーションタイム。特にヒロさんはカーボンロード○すマン(クロモリなだけです)なのでバイクが名刺がわり、多くの言葉は要らなかった。徐々にローテがまわりはじめる。ただしクライマーの走りは実にかったるい。さっさとどいてくれればいいし、ぶらさがってくれればいいんだけど、ここでスピードが落ちてしまう。かったるいので回数多めにまわる。そうこうしてたら先頭集団からちぎれた第2パックが遠くにみえたので、六本木くんとヒロさんと雄叫びを上げながらみんなで励まし合う。さらにうまくまわるようになり相当なペースで猛追。先頭時は5倍くらい。徐々に差が縮まり吸収。
そしたらSauceの白石くんがいる。小山田ではいつも後ろでお世話になってます&あなたはこんなところにいちゃいけません。こっからさらにペースを上げたかったんだけど、みんな虫の息なのか登りに備えてるのか休戦状態に。いま思えばもうちょっと積極的にいっとけばよかった。どうせ俺は登りでついていけないんだから。

 

(3)終盤
ここからはひたすら苦行。登坂が死ぬほどつらく4倍を維持できない。白石くんも遅れはじめる。白石くんイケメンだなぁ、絶対モテるなぁと美しい身体を眺めながらなんとか後ろで粘る。「下りで待ってます」という爽やかな笑顔に「よくわかっとるやんけ!」と応答する。

彼が全力で下るなか、何もしなくても差を詰めてしまう体重レーシングをキメてあっという間に追いつく。ここから先はおいらの出番なので、若武者を引き連れて、安全に、しかし全力で下る。もう首と肩がバキバキだ。ハイペースでまわしてたら先頭で戦い続けたCUBEの居鶴さんをキャッチ。一度しかお話したことはないけど、もうダメだという声を聞いたので、前で戦い続けた居鶴さんに心の中で最大限の敬意を払って置いていく。再び体重レーシングを続けた。気がついたら白石くんがいなくなっていた。

残りは足の小指の激痛と戦いながら3~3.5倍でゴールラインを目指す。ラスト15kmは痛みに耐えられずペダルを止めた時もあった。小指がダメになるかと思った。

ラストは一応もがいて総合71位、年代別17位。ロードレース1年生にラッキー7がついてUCIメダルと世界選手権出場権のおまけ付き。

レース後に白石くんと再会した。会った瞬間、こんなオッサンに熱い抱擁をキメてくれ、健闘を讃えあう。久文句のつけようがないイイ男に久しぶりに出会った。

 

(4)今後の方針
貴重なレース活動は、ロードレースにしぼり、引き続きロング練を充実させる。


最大のウィークポイントである登りについては
①10-20分でハイペースの登坂(バケモノの召喚が必要)を大切に
②5倍登坂のインターバルをまぜる(個人練)。レースでは5倍の耐性、本数が鍵になる。

 

下りについては
新川崎スキル練で定期的に稽古つけてもらう。回復日をうまく使う。課題評価しているうちはダメです。っていうかお前ヘッポコだからな、勘違いするなよ。
④ロングいけば必然的に登るから必然的に下る。

 

平地については
まだまだパワーもエアロも足りないので

⑤高速機関車に乗車する(ザウルス練)

 

あとは

⑥脂肪落とそう。夜の炭水化物カットから始めよう。

⑦小指問題を解決する手だてを揃えよう

 

次はたぶん秩父宮市民A(←エントリー終了してました(´・ω・`))です。

師匠、マッサ、PaBメンはもとより、多くの自転車仲間に支えられている。ありがとうございます。自転車って本当に楽しいですね。


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アタックの目的

罵声の意味を考える

 「ローリング解除後にアタックしたら罵声を浴びた」

 

仲間から聞いて驚いた。自分の記憶を辿ってみると、そういえば「まだ早いぞ!」「まだ行くなゴルァアア」「この〇〇野郎、タヒね!」と注意されたことがある。 

  罵声マンはなぜ声をあげたのか。アタックマンがセオリーに反したからだろうか。

 いや、そうじゃない。罵声マンはアタックマンにペースを乱されるのが困るから、自分がついていけないから、ラストで一発勝負できないから怒っているのだ。

 

 

 アタックについていくか、それとも放置するか。

 

 この選択を迫られるとき、基本的にはアタックについていくべきだと私は考える。

 

 約1年ぶりとなる2回目の更新(笑)では、いわゆる「ファーストアタックの目的」を考察することによって、このことを知的に探究してみたいと思う。

 

「集団の破壊=ふるい落し(=落車回避)」が目的のアタック

    上位カテゴリのレースにもなると、出走するレーサーはフィジカルも走りも強いひとばかりだ。

    レース序盤から「集団の破壊=ふるい落とし」を目的とした強力なアタックがかかる。

 アタックマン(ア)にたいして、即座に反応する追走者(追)、追走者に脚を使わせて追いつこうとする賢者(賢)が現れ、逃げ集団の形成が目指される。

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 追走列車が(ア)に追い付くころ、(追)はフィジカル的に一番つらい。

 しかし(追)は(ア)の後ろに張り付く選択は採らない。そのまま一気に前にでて巡航速度を維持しようとする。むしろ集団の巡航速度を上げようとするのだ。

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    このような選択をするのは次の理由に拠る。せっかく脚を使って追いついたのに、巡航速度を落としたら、

  1. 後方集団にダメージを与えられず、集団に追いつかれてしまう。
  2. アタックはムダ、自分の足の無駄使いになってしまう。
  3. 積極的なレーサーを殺してしまい、つまらない消極的なレースになる(上位カテゴリでは通用しない)。
  4. グライペルおじさんとスプリント勝負になってしまう。

強いレーサーはこのことを熟知しているように思われる。

 

ビギナーからの脱却、ポイントはどこにある

   したがって、(チーム戦だったりツールのような走りを除けば)逃げ集団にはりつく金魚のフンマンやローテに消極的なNEGATIVOは、高いレベルのレーサーとはいえない。

 そして、逃げ集団の形成過程においても、アタックマンや追走者を殺さないような走りをしているかどうか、積極的にローテをまわそうとするかどうかをみて、ホンモノの賢者かどうかを判断するべきだ。彼らを殺してしまえば集団に追いつかれてしまうからだ。

 それゆえ、ビギナーの走りから脱却できるポイントは、自分でアタックをしかける、他人のアタックに上手に乗る、積極的にローテをして逃げ集団のスピードを維持し続けようとする、ここにあると思われるのである(賢者は無駄足を使わずにローテに参加していることを忘れてはいけない)。

   POSITIVOからすれば弱者と戦うのは落車リスクを抱えるだけ&リスクの高いつまらないレースにお金を払うだけ。

 

    他人のアタックによってふるい落とされず、自らのアタックでふるいにかけること、他人の足を使って賢く逃げに乗ること。こうして本当に強いレーサーたちが選抜されていく。

 

 アタックをしかけ、アタックに反応し続け、上手くサボりながら前で展開し続けたレーサーがもっとも強く、表彰台に立つべきレーサーだと私は考える。

 

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注:キレのないアタックには誰も反応しない(Photo by 大富豪BASS兄@BASS_MEG

 

ブログ開設

自転車の楽しさ、師匠との出会い

 2015年2月にマキノ号が納車されてから私の生活は一変した。世界で一台の相棒をつくってくれたビルダーであり、師匠である坂西さん(M.マキノサイクルファクトリー、元国体選手)との出会いがあった。この素晴らしい出会いがなければ今ごろ堕落した生活を送っていたと思う。毎週のように手賀沼に通い、自転車の楽しさ、走り方を教えてもらった。レースに付き合ってもらい多くの時間を共有してもらった。師匠はいつも優しく、成長に応じて新しい課題を与えてくれた。

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師匠にお借りしたディープを履かせる(M.マキノサイクルファクトリーにて)

 

ツライ、キツイ、でも楽しい

 生活の中心は自転車になった。継続的なトレーニングはもとより、食事の質も、体のケアも、アスリートに準ずるレベルで努力を重ねたと思う。レースに出れば、自分に欠けているもの、勝つための課題を否応なしに突き付けられる。そして課題を克服するための新しい日々が始まる。


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 大磯クリテにて(Photo by ボーイ)

   こんな生活をはじめてまもなく1年半が経過しようとしている。平日朝5時半から矢野口に集合して追い込むとは夢にも思わなかった。練習はツライ、キツイ。でも楽しい。

    それは自転車そのものおもしろさを教えてもらい、切磋琢磨しあえるたくさんの仲間ができたからだと思う。ホビーとはいえ、自分自身と真剣に向き合い、自分を育てる努力を重ね、新しい自分に出会うことができた。この先どうなるかはわからない。でももっと強くなりたい。

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チームメートと表彰台独占(Photo by 拓(@ns_t_hiro)さん)

 

成長の記録として

 師匠をはじめたくさんの友人、家族の支えによって、毎日が最高に充実している。客観的に見てこれまでの成長過程は爆発的なものだった、全体として素晴らしい1年だったと総括できる。

 しかし私に残された「旬」の時間は残り僅かなのである。アスリートとしては退化する一方の30代。しかも仕事に打ち込み、大切な家族を大事にした上で、進化しようとしている。限られた時間の中で、出来るだけで効率的に、指数関数的に強くなる必要がある。そうでないと5年後、10年後の自分に申し訳が立たない。

 

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大井町クリテにて(Photo by BASS(@BASS_MEG)兄さん)

 そういうことを真剣に考えるうちに、そしてレースで勝つための課題と方法を考えるうちに、フィジカル強化だけでは片手落ちであることがわかってきた。

 強いレーサーに必要不可欠な要素は何か。ロスの無い走り方、強い走り方とは実際のレースで何をどうすることなのか。

 私は自分のために、このことを知的に探究したいと思う。

 このブログは、そのような試行錯誤の積み重ねの歴史、成長の記録として開設した。いつまで続くかはわからない。でもきっと自転車は続けている。